あるスーパー経営者に、従業員が「三が日はなんとか休ませてもらえないでしょうか」と頼んだところ、「ダメ」とすげなく断られた。「じゃあせめて元日。親戚(しんせき)が集まるんです」とお願いする従業員に、経営者は答えた。「あ、いいよ、そのかわりずっと来なくていいから。代わりはいくらでもいるんだ」
日本文芸家協会の協会報「文芸家協会ニュース」1月号で、作家で僧侶の玄侑宗久さんの寄稿「壊れゆくお正月」を読んだ。冒頭の会話はその中にあり、おそろしいことに実話だという。玄侑さんは書く。
「経営者の皆さんにお願いしたいのである。どうかお正月をこれ以上壊さないでいただきたい」と。同感だ。
年中開いているお店に買い物に行くと、年中働いている人たちがいて、年中いつでも食べられるイチゴやスイカが並ぶ。それが当然で、便利だと思いこむ私たち。やはり変だ。玄侑さんの言葉に呼応して来年以降、お正月は買い物に行かないと決めた。賛同してくださる方を増やしたい。例の経営者氏に「客の代わりはいくらでもいるんだ」と言われないために。(品)