04 「河北新報」 2月7日号

東北の作家たち シリ−ズ(4)bun―作中の僧に自分を映す―


―禅僧の立場から禅を分かりやすく解説した『禅的生活』が好評です。


znteki 「日本人は禅に興味があるものの、知っている人は少ない。むしろ欧米人の方が禅を理解していて、公案(禅学を学ぶ人に師が考えさせる問題)が分かる人もいる。茶道などを通じて日本文化に深いかかわりのある禅を、もっと生活に密着した形で語りたかった」。
「お悟りの内容は文字や言語では伝えられず、師の心から弟子の心に直接伝えられるとされるが、先人もある程度お悟りを言葉で表現している。お悟りまでは無理でも、ある程度近くまで行けるのではないか」

―作品には何らかの形で僧侶が登場します。


「感情移入しやすいこともあるが、坊さんは金銭、性、死と、人生のさまざまな問題にかかわり、幅広く書ける。彼らは私自身ではないが、私の中のある面を投影している」

―今一番関心のあることは。


「自殺。私の身近にもあった。私は自殺した本人の内面は書けないし、おそらくロジカルにも説明できない。残された周辺の人たちの姿を書いてみたい」

―僧侶として、人から悩みを打ち明けられることが多いのでは。


「話を聞くことは僧侶の仕事の一部。自分の罪や悩みを打ち明ける人は、それをすべて正直に話しているわけではなく、どこかでフィクションを作っている気もする。彼らが落ち着けるフィクションを作るお手伝いをしている」。

―東北の地で書き続けることについて。


「東北の寺に生まれて僧侶であること、今こうして書き続けていることは、私にとってすべて『ご縁』と思っている。いろいろな『ご縁』が熟して今の私がある」。
「私はある時から、目指すべき自己を実現するための生き方をやめている。小説を書き始めたのは自分の意思だったが、作家デビューや芥川賞受賞も、周りのアクションに応じた結果。最初から目標を定めていたら大変だったろうと思う。本当に幸運だった」

―今年の活動予定は。


「対談集とエッセー集が出る予定で、春ごろには初めての書き下ろし小説を出版する。小説を書いていて苦しいと思うときもあるが、書き上げたときの高揚感は生まれ変わる体験に近い」。
「私は仕事の種類も問わないし、人に話すことは坊さんの仕事でもあるので、都合さえつけば講演もする。そうしたことに応じているうちに、また違う自分が見えてくる。どんな『ご縁』があるのか楽しみだ」

影響を受けた人物/小説家・川端康成
高校生のころに作品を読み、影響を受けた。そのころ既に文章を書いていたが、論理明快なのに情緒的。そんな文章があるのかと感激し「日本語って美しい」と実感した。「山の音」「みづうみ」は、機会をみてまた読みたい。
Copyright 2004,The Kahoku Shimpo.

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