あることをテーマに書こうと考えていると、どういう方法論にするべきかということが自然に浮かんでくるんです。『アミターバ』のときは死んでいく本人の目線を使うしかないという思いがあったんですけど、自殺に関しては亡くなった本人の気持ちをわかったように書くことはできない。ドーナツ状というか、真ん中の穴のところに本人がいて、それを取り囲む人たち、ここで言えば六人の人物の視点から自殺した人を順次見ていくという手法が、今回は自然に浮かびました。同じ人物から見た話が何回か出てきますから、ドーナツというより螺旋のようにそれが重なって、いわば神の視点に近づいていく。一人の人間では持ちえない視点を読む人に体験してほしいと思っています。