
無言電話をかけるストーカー。その電話を切らずに聞く飛鳥。電話のバックにはスペイン語の歌が流れる。飛鳥は、その「神の庭」というCDを探し出して聞くようになる。
「ストーカーを信じようとしていますよね。いつか変わってくれるのではないかと。無言電話に付き合うというのが、狙われやすいところでもあるし、今の世の中を生きにくい部分でもあるでしょうね」
玄侑宗久さんの最新作『リーラ』は、この世を去った飛鳥をとりまく6人の語りで織りなされていく。
飛鳥から相談を受けた男友達は、彼女とストーカーとの関係に嫉妬(しっと)を感じる。
「特別な関係であるという思い込みはストーカー独特のものだが、飛鳥にもその思いがあるかもしれないと、男友達は感じていますよね。ストーカーに『慈悲』を思わせてしまう受容力が彼女にあることは確かです」