
「自殺する人間はまじめで、自分にたがをはめて目標に邁進していく人に多いと思います。ただ、ちょっとたががきつすぎるんじゃないの、という気がする。流されまいと踏ん張るから、波にさらわれてしまう」。
タイトルの「リーラ」はサンスクリットで、「動詞でいえば、揺れるという意味です。揺れることが自然であり、自然は揺れている」。
三年前、二十三歳の飛鳥が、突然自殺した。拒食症に苦しんではいたが、死の気配を感じさせない女性。それだけに三年過ぎた今なお、弟、母,男友達やストーカーの中に、理由をつかめぬいらだちと喪失感が、生々しく残っている。
「最初にドーナツが浮かびました。真ん中に自殺者がいて、かかわりの深かった人たちが、周囲から真ん中を見るという形です」。
章ごとに視点が入れ替わり、六人の異なる目線から中心の飛鳥が描き出される。二回三回と登場する人もいるのは、「ドーナツ状がらせん状になり、その行き着く果てには神の視点がある、というのを目指した」から。